イエス・クライシス


 あっという間に年の瀬。


 3月、月曜の夜のこと。ジムでしばらく出くわすことがなかったので退会したのかしらと安心してスタジオを出ると、例の付き纏いが”今人を殺してきました”みたいな恐ろしい形相で仁王立ちして目の前に立ちふさがった。怖くて横をすり抜けるようにして階段を下りると今まで聞いたこともないブオー、ブオーという鼻をすする大きな音が背後から延々と襲ってきた。週末に姪っ子たちとソウル旅行を控えていた私は、ひょっとしたら行けなくなるかも…と、妹に「もし私に何か起こっても旅行は予定通り行ってね」などとメールしてしまう。


 ソウル旅行は無事行けたのだけど、ショッピングのみ楽しみたい姪っ子2人+妹たちとショッピングよりもあちこち観光したい私とでは海外旅行の楽しみ方が根本から違い過ぎる。それは最初からわかっていたのだけど、まさか予定に入っていた夜のソウルタワーまでショッピングでキャンセルになるとは思いもよらなかった。購買欲の完全勝利。まあ今回はPちゃんの卒業旅行に同行させてもらったカタチなのでこれに関して不満は言えない。Pちゃんの現地のお友達のおかげでとても美味しいタッカンマリを食せたし。ということで5月に一人でソウル入りを決め込んでいたのに北がおかしなことになってきたので泣く泣くキャンセル。ならば、と台湾行きを夢見て情報収集にいそしむ。


 7月、その後もジムでは付き纏いが。前回は口頭でスタッフへの報告だったので、これまであったことを時系列で文書化しジムの責任者に読んで頂いた。なるべく一緒にならないようにスタッフにも注意するよう伝えるとのことだったが、肝心な時にスタッフの姿はなく、気がつけばヤツがジム内に入ってくると私のほうがこそこそと身を隠すようになり不審者丸出しに。トホホ。それでも心の拠り所であるフラの時間だけは出くわすことがなかったので我慢して続けていたが、とうとうフラの時間にも覗きに来ていた付き纏いに気づいてしまった。父の入所してる施設からもほど近く立地的に好条件の所にあっただけにこれまでやめるのを躊躇っていた。が、ストレス解消のつもりで始めたのに逆にストレスに。「一口に発○○害と言ってもいろんなタイプがある。根気よく何回も言い聞かせて理解するケースもあるけど、執着型はあなたがジムをやめない限り続くよ」と知り合いのその道の専門の人にもやめることをすすめられた。それでもフラをやめたくない一心でうだうだと続ける。


 そして職場には47歳の独身大男が入ってきた。昔ストーカー化した同僚に似ている。レイシスト臭もプンプンする。私は能面化した。


 8月、来年の社員旅行の行先が2つあり好きな方を選べるということでドリカム。カモネキ?渡りに船?なんでもいい。僥倖。


 11月、フラの方は通うのに1時間かかってしまうけど、平日夜の教室にほぼ決まりということで年内でジム退会することに。既に週1回1時間しか行ってないしね。4年通ってきたけど、最後の1年でもうコリゴリ。女性だけのところのほうが安心して踊れる。


 12月、バンタンの勢いが止まらない。Pちゃんに「韓国で今一番勢いのあるグループだよ」と言われても普段だったらチェックしようなんて思いもしない私が、なぜかその時は何かの勘がはたらいたのかyoutubeで検索し、最初にヒットしたboy in luvを見てそのままVの虜に。が、見れば見るほど彼らの歌とダンスに魅せられ、ほどなくアーミーになり丸2年が過ぎようとしている。アーミー最高齢なんじゃないか。でもいいの、私にクリスマスカードを送ってくれるのはもう彼らしかいないから。貢ぐ。GOGO貢ぐ。分相応に。永遠に一緒だから。