『冒険者たち』(1967/DVD)


監督:ロベール・アンリコ
主演:リノ・ヴァンチュラアラン・ドロンジョアンナ・シムカス

  • 共鳴する三つの魂

ある日、ローラン、マヌーの前に自由な精神を持つレティシアが現れる。凱旋門を飛行機でくぐろうとしたマヌーは操縦士の資格を剥奪され、ローランは有り金をはたいたエンジンの改良に失敗、アーティストのレティシアも個展に失敗する。そして年齢や性別を超えて意気投合した3人はコンゴ沖に沈んだ宝探しに出る。が、それを横取りしようとした一味にレティシアは殺される。難を逃れた2人は彼女に潜水服を着せ海に埋葬する。海底に沈んでいく左右に大きく伸びた彼女の白い手が印象的なシーンだ。なぜか初期の『ルパン3世』の3回目かに放送された「さらば愛しき魔女」を思い出した。(←ちょっとマニアックだったか)


この辺で終わってしまってもなんら問題ないのだが物語りはさらに進む。レティシアの取り分を渡すため彼らは遺族を探し出す。しかし彼女の叔父夫婦の冷たい態度に一度は帰りかけるが、昼間時間をつぶすために入った博物館で案内してくれた少年がレティシアの従弟と知ると、気を変えてその少年に彼女の莫大な遺産を全て相続させる。


そして生前レティシアが手に入れたいと言っていた海の要塞をその村で見つけたローランは、そのまま住み着き要塞を所有する。一度はパリに戻ったマヌーだがレティシアを忘れられずにまた舞い戻ってくる。執念深い例の一味に後をつけられているとも知らず。要塞の中で再会を喜こぶ2人に銃弾が向けられる。要塞の中に隠されてあった武器で応戦するが、マヌーが撃たれてしまう。息も絶え絶えのマヌーにローランは「レティシアはお前と暮らしたいと言っていたんだ」と。「嘘つきめ」と笑って息をひきとるマヌー。青い海の中に浮かぶ要塞の空撮。その要塞は真中がぽっかり開いている。


果てしなく自由な精神の持ち主の心を映し出しているようだ。


あ、蛇足ですがジョアンナ・シムカスって『失われた男』(1969)で共演したシドニー・ポワチエと結婚して引退したあのシムカスなのね。知らなかったのだけど、彼女を見てたら「あ、絵描きたいな」とか思いました。