『暗黒街』(UNDERWORLD)


1927年 へクター・ターンブル製作
監督:ジョセフ・V・スタンバーグ
脚本:ロバート・N・リー
撮影:バート・グレノン
出演:ジョージ・バンクロフト、イヴェリン・ブレント、クライブ・ブルック、フレッド・コーラー


 『暗黒街』なんて題名なのでハードボイルドなギャング映画かと思ったらメロドラマでした。街の顔役ウィードは強盗をアル中のロールス・ロイスに目撃されるがそのまま見逃す。その後、カフェでもう一人の顔役ムリガンに嫌がらせをされるロールスを救いアル中から立ち直らせる。粗野だが豪快で見返りを求めないウィードの人の良さにロールスは誠意をもって答える。が、いつしかウィードの情婦であるフェザースと愛し合うように。そして日頃から何かと反目しあうムリガンをウィードは撃ち殺してしまい、絞首刑を言い渡される。一時は二人の愛を貫こうとするが、フェザースのためにウィードがムリガンを殺したことを知り断念。ロールスはウィードを救うため脱獄の準備をすすめるが失敗、そうこうしている間に二人の仲を疑い始めたウィードは看守を殺して脱獄してしまう。二人の真意を確かめるため。部屋に身を隠しながら、牛乳ビンに指を突っ込んで子猫にその指を舐めさせるウィード。別な彩りを添えるなんとも言えないシーンだ。フェザースが一人帰ってくるが嫉妬に狂ったウィードは彼女の言葉に耳をかさない。やがて警察との交戦になる。それを聞きつけ、二重構造になった秘密の隠し部屋の鍵を持っているロールスは負傷しながら彼のもとへ駆けつける。自分を裏切っていなかったこと、二人の純粋な愛を知ったウィードは二人を隠し部屋にかくまい、マシンガンに白い布を絡ませ降伏する。彼を取り押さえにきた警察に笑って両手を上げるウィード。


警官:「希少な経験でおまえは生まれ変わった」("And all this got you was another hour!")
ウィード:「求めていたものをようやく見つけた―俺の人生は この数時間に凝縮されてたんだ」"There was something I had to find out -- and that hour was worth more to me than my whole life."