Let's Dance!


日テレの『シャル・ウイ・ダンス?オール・スター社交ダンス選手権』を見てしまった。学生の頃、社交ダンスにちょっと興味を持っていた。とても華やか上流社会のもの、というイメージがあって実際に踊ったことはないが。でも、ダンスの楽しさだけはよく知っている。


高校の時に体育で先生と踊ったポルカ!まるで背中に羽が生えたかのように、私の体は軽快に宙を舞ってターンを繰り返していた。その感覚を二度目に味わったのは、山の中の野外劇場で。公演終了後のポーランドの劇団の役者、スタッフたちとの月夜のダンスだ。主役を演じていたマリウシュにステップを教えてもらうと、すぐに私の体は自然に動き出した。楽しくて楽しくて月を見上げながら踊っていると、今にも私の体はあの月に向かって飛んでいきそうな、そんな感じに…。マリウシュはちょっと驚いていたようだった。

山をおりて今度は街の中での公演。つまり当時の私の本拠地に戻り、私がデザイナーさんの事務所からチャリで戻ってきたところで、マリウシュとばったり鉢合わせ。とても忙しかったのだけど、奢るから一緒にお茶しようとあんまり誘うので近くの喫茶店へ。キミは芝居はやらないのか?私はヘタクソだから、と、そんな会話。それからしばらくして帰国したマリウシュからワークショップに参加しないかというファックスが届いた。どう考えても無理だ、ポーランドじゃ。


その数年後に招聘したフランスのコンテンポラリー・ダンスのカンパニーのワークショップにはただの制作スタッフのクセに職権濫用して参加してみた。上司は呆れていたが。それは空気を包み込むような感じのスローな動き。ダンス経験者を対象にしたものだったから、体はうまくついていけないのだけど、そういう感覚だけは妙に理解できた。こちらは楽しいというよりも、ストイックなそれでいて凛とした心地よさが残った。


気に入った音楽がかかれば自然に体が動く。ミュージカル映画を観ていると、今でも映像の中のヒロインやヒーローたちと一緒に踊り出してしまう。これはもう本能なんじゃないか。肉体表現、というか言葉を用いない分、ダンスという身体表現は、ストレートにズンと心の中心を打ち抜いてくる。


どこかに、フレッド・アステアみたいなヒトいないかしら。そしたら毎日楽しく暮らせそう。キッチンでダンス、なんて素敵じゃない?