White Moon
もう会えないような気がする、という予感はいつも当たってしまう。
午後9時過ぎ、それでも、待ってるかもしれないと思いドッグフードと懐中電灯を手に散歩に出てみる。
外にでると、やたら明るくて懐中電灯なんて必要ないみたい。見上げると蛍光灯みたいに白い月が重なる雲をものともせずに煌々と輝き光を降り注いでいる。
満月なのかな?
ご近所をぐるっと一回りしている間、その明るさに引き込まれ光源である丸い電球を見上げながら歩く。
さっき振り返りながら通った道をふと横目で眺めてみるが、走り寄ってきた小さな影はもういない。たちまち視界が滲んでくる。こんな夜の散歩があと何日続くのだろう。