「タルコフスキー・ナイト」


サクリファイス
 (1986・スウェーデン、他/フランス映画社)
 監督:アンドレイ・タルコフスキー
 出演:エルランド・ヨセフソン、スーザン・フリートウッド


唯一、睡魔に打ち勝てた作品。二度目だからな。トホホ。ストーリーがわかったら主役のアレクサンデルに激しい嫌悪感。狂人が戦争きっかけに妄想を爆発させてるだけじゃん、それを「犠牲」とはキモチワルイ。「マタイ受難曲」とかダ・ヴィンチの「東方の三賢人の礼拝」とか、そんな小道具で私は騙されないぞ。映像は美しくて面白いけど。

キューブリック・ナイト」の時にも思ったけど、巨匠の遺作にはロクナモンがないな、と言ったら言い過ぎだろうか。かまうもんか!


『ストーカー』
 (1979・ソ連/ロシア映画社)
 監督:アンドレイ・タルコフスキー
 出演:アレクサンドル・カイダノフスキー


寝たよ!SFは苦手。ストーカーと作家と教授の「ゾーン」へのロードムービー。違うか。寝てたから知らん。大きな鏡や部屋の入口を額に見立てて絵画のように映し出すシーンは人物の配置まで緻密に計算されていて見事。あと水の映像だな。弟を助けようと「ゾーン」に行ったのに弟を救えず金持ちになってしまったため自殺した男の話とか、「無意識の願望」だけが叶えられるという「ゾーン」の設定は面白いと思った。

ストーカー役のカイダノフスキーが知っている舞台役者に似ていて吃驚。彼はロシアの血が1/4のクォーターとか聞いたが、ホントかなあ。きょうび、1/4なんて私だって言えるぞ。日本とマオリ族の、とか。


『鏡』
 (1975・ソ連/ロシア映画社)
 監督:アンドレイ・タルコフスキー
 出演:マルガリータ・テレホワ、オレーグ・ヤンコフスキー


『リング』の貞子が出てきてまた吃驚!原点はこれだったのか、と。風に波打つ草原、森のモノクロの映像が一際美しい。妻と母(若い時)の二役をこなしたテレホワは美しく見える時と老婆に見える時があって、老婆に見える時の彼女がソダーバーグの『ソラリス』のナターシャなんとかがエレベーターの中で下からのライトで老婆というか死人のように見えた時とかぶった。あと疎開先で装飾品を食料と交換するため訪ねた家で、そこの夫人が青い耳飾をつけるシーンがあるのだけど、あれはフェルメールの「真珠の耳飾の少女」を想起させますね。等々。