『亡国のイージス』(2005)


監督:阪本順治 原作:福井晴敏
出演:真田広之寺尾聰中井貴一


そもそもお話が亡国とか憂国とか愛国とかそんな精神論ではなく、単に息子の敵討ちになっちゃってませんか?『スター・ウォーズ3』なんかでも感じたのだけど、結局ヒトってどんな大義名分を持っていようと、そういう極々プライベートなナニかが起因して動いてるような。まあ、そんなもんなのか。が、どうも豪華な「テレビ」の2時間ドラマを観てるような気になっちゃう。アメリカみたいにテレビスターと映画スターの区別がなくて、お茶の間で馴染んでる役者ばかりだから?


冒頭の安藤正信が真田広之に事態を説明している時の「立ち姿勢」が気になって気になって。なんで真っ直ぐ立てないの?「気をつけ」の姿勢なのに頭だけが亀みたいに前に飛び出してる。意味があるのか。だとしても、美しくない!それ以外は不気味さを醸し出していてイイ感じなのに。あと深夜番組の司会が妙に嵌る谷原章介がダイビングして特殊兵器をキャッチし甲板にブチャッと叩きつけられるシーン、身を呈して爆発を防ぐ感動のシーンのはずなのに、なんだかコントを見てるみたいでちょっと吹いてしまいました。


オトナに戦闘ロボットとして洗脳されてしまった、子ども同士の非情な戦いがなんかな。そのワザが精巧なものであればあるほど如何に過酷な訓練を積み重ねてきたか、どのようにして生身の人間らしさ、感情を消し去っていったかが窺えるというか。子どもが生きた兵器になるような国になってはイカンと。


中井貴一は抑えた演技でなかなか。真田広之は「こんなヤツいねーよ」と思わせないための「何か」が足りないな、と。まあ、全体的には飽きることなく観られました。連続ドラマを圧縮して内容テンコモリにした感じ。緩急の緩がない。スペクタクルだからか?あ、おわかりでしょうが、原作は全然読んでません。あしからず。


追記:それにしても、あの状況下でのやりとりで如月(勝地涼)と宮津副艦長(寺尾聰)の二人を実は親子だったと勘違いちてしまう方がけっこういらっしゃることに純粋にビックリ。原作を読んでいない私でも、意識の薄れていく如月のうわ言に宮津が自分の息子の影を追い呼応したものだと、少女テロリストとヨンファの関係はスタジアムのあのシーンだけではよくわからんけど、ヨンファを狙ったオヤジ狩りみたい。その腕を見込まれて仲間として訓練したとか。まあ、「ニキータ」みたいなもんかなあ。