扉の向こうには…


夜型の私は、朝が滅法弱い。なのでテレビと目覚し時計2つを5分ずつずらして設定している。鳴った瞬間にすぐ止めてしまうからだ。そして、また眠りについてはまた止める。目覚し時計なんかはこれが5分間隔で30分間鳴り続ける。それでも、ひどい時は全く起きない。テレビも1時間でオフになる。去年の暮れから、そういうのが何度かあった。が、未だ遅刻にいたるほどの寝坊はない。なぜか。それは、全て共通していることなのだが、夢で起こされるからだ。


毎回違う夢をみているのに、起こされる直前の状況だけは不思議なことに全て同じなのだ。つまり、夢の中でも寝ているのだが、玄関のチャイムが必ずゆっくりと「ピンポーン」と鳴るのだ。

その瞬間、私はハッと目を開き「誰か来た」と。鮮明なその音をこめかみに残して、夢の中なのことなのか実際に鳴っていたの判断がつかず、しばらくそのまま様子を窺う。二度目のチャイムは決して鳴らない。


「こんな時間に誰かが訪ねてくるわけないか」


時計を見ると、急いで用意すればなんとか間に合うというギリギリの時間。そんなことがもう3回ほど。夢の中で、その続きはどうなっているのだろう?


扉の向こうに、私を目覚めさせる人物が立っているのだろうか?


わかっていることは、そこで起きなければ完全に遅刻する、ということだけだ。