アンスリウム


定時に職場を離れ駐車場に向かう。空の青さに気づいて、日が延びたことに驚く。門の前で信号待ちをしてる時、ふと外を眺めると花壇の梅が既に満開になっていた。その反対側では夾竹桃の葉が寂しそうに凍えている。夏の陽射しの中、海風に揺れるたくさんの赤い花を思い浮かべた。(白い夾竹桃の方が好きなんだけど)


自然と足が花屋に向かう。店先には一束367円のたくさんの切花があった。スイートピーフリージア、マーガレット、ピンクのチューリップもかわいかったけど今日は華やかなバラがいい。オフホワイトの花びらで、フチだけがオレンジ色でまるでレースのように縮れたバラがあった。元気のよさそうな束を一つ抜き取り、レジに進もうと向きを変えると、目が合ってしまった。珍しいサーモンピンクのアンスリウム


「すみません、このアンスリウムはおいくらですか?」
「あ、はい、1本、315円です」
「そうですか」(高いな)
「あ、ちょっと待ってください。今、確認しますね。・・・すみません、157円でした。」


オシャレなバラが、シンプルなフォルムのサーモンピンクのアンスリウムに変わった。穏やかな、人の肌色に近いピンクのハートが3つ、今、私の部屋に。