『ドッグヴィル』


2004年
監督:ラース・フォン・トリアー
出演:ニコール・キッドマンポール・ベタニークロエ・セヴィニーローレン・バコール


女性(女優)を徹底的に苛め抜いたあげく全く救いのない映画を作って、さも、これが現実なのサ、とでも言いたげなこのサド丸出し監督がキライで、なかなか観る気になれなかったのですが、今回もやってくれてますね。


公開時のあらすじを読んだだけで「この村、ギャングに消されるんだろうなー」と予想していた通りの展開で、ストーリー自体には何の驚きもなく。実験的な試みということですが、演劇として観てしまえば極普通の演出で違和感もなく、なぜわざわざ映画で?とか思ってしまうこともなく観てしまうあたりが凡人たる所以でしょうか。


演劇(ステージ・パフォーマンス)っぽくしたことで、客席と舞台というかスクリーンの境界がハッキリし、よりこの世には存在しない世界での出来事、夢物語のお話っぽくなって、その中で展開される残虐な行為の数々が中和されているように思います。『奇跡の海』や『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のように拒否反応を起こしてしまうようなことはなく、案外すんなり観れてしまいました。やってることは、「皆殺し」なのにね。本当の「犬」は殺されたヒトたちなのか、手を下したモノなのか。


エンディングで流れた(大好きな)デビッド・ボウイの軽快な「ヤング・アメリカン」のリズムが対照的でした。


※平面に描かれたモーゼス(犬)の絵が、「ネズミ」にしか見えなくて…。なんかもっと描きようがあったと思うのですが。