教えて欲しい


昨日の朝、祖母の容体が悪化し入院したという連絡が入った。仕事を早めに切り上げ、病院に行くと既に叔父夫婦と姉と妹が子どもたちを連れて来ていた。一週間前に祖母に会った時は、「歩けるようになったら、Pちゃんのバレエを見に行きたいなあ」と、言っていたのに…。


幼い頃から苦労して懸命に働いて生きてきた祖母の手は、とても大きくて、特に爪の形が美しい。明るくていつも周りの人を笑わせ人気者だった。母がまだ子どもだった頃に、祖母は不思議な力を持つようになったそうだ。庭の隅に奉ってある氏神様にお祈りすると、いろんなことを教えてくれるというのだ。かくいう私もこれまでいろんなことを言い当てられた。一番驚いたことは、久しぶりに実家に帰って炬燵でくつろいでいた時、ふいに母親に言われたことだ。


「○○ちゃん、今、付き合ってる人いるの?」
「へ?なんで?」
「おばあちゃんがね、今、○○ちゃんが付き合ってる人、○○ちゃんが結婚してくれるんだったら××(私の姓)になってもいいって言ってる、って言うんだよ」


当時、家族にはまだ内緒で付き合っていた彼からちょうど一週間前に言われたことだった。まだ誰にも話していないそのことを言い当てられ、祖母に会った時、不用意に「なんでそんなことわかるの?!こわい!」と言ってしまった。以来祖母は、何を聞いても「こわいって言われるから言わない、もう言わない」と。


あれからもう何年も経っている。だけど今、祖母に教えてほしいことがある。初めて付き合った人の時みたいに、「うまくいかないよ」って一言言われたら(まあ両親にも反対されていたのだが)、今度は素直にあきらめることができると思うのだ。納得するためのダメ押しの一言がほしいだけなのかもしれない。そんなくだらないことは聞かなくてもいいか。


それとは関係なく、「100歳まで生きて紅白のお餅を配りたい」って言ってたのだもの、もう少し頑張ってPちゃんのバレエの発表会に一緒に行こうね、おばあちゃん!