さらば、ロメール

fleurette2010-05-07



 電話でやっとベッドから起き上がる。30分ほどのお喋りの後、着替えて出掛ける準備。外はけっこうな雨。ベランダに置いたガブリエル(バラ)の蕾がだいぶ膨らんで白い色を覗かせてきた。来週には咲くだろう。
 ドアを開けると雨が止んでいたので傘を戻して車に乗り込む。念のため、バックシートに折りたたみの傘があるのを確かめてからエンジンをかけ走り出した。すると途端に雨。国道に出てから通販の支払いをするためコンビニに立ち寄る。ついでにストロベリークリームのチュッパチャップスを5個、マカデミアチョコと缶コーヒーを買う。
 通い慣れた道を通って、そして通り過ぎて(バンザ〜イ)某百貨店へ。途中、何度も雨が降ったり止んだり。1時間ほどの短い間にこんなに頻繁にワイパーを動かしたことがあっただろうか?
 平日だというのに、駐車場はけっこう混んでいた。目的のフロアに出たところで駐車券を車の中に置いて来たことに気づき慌てて取りに戻る。その後プレイガイドで22日のエリック・ロメールナイトのチケットを買い、向かいのカフェで遅いランチを。
 雨が止んでいるのを見て、駐車料金があと1時間は只なこともあったので何年かぶりに古巣を覗いてみることにした。ふと、車に戻って折りたたみ傘を取ってこようと思うも、戻ったらそのまま帰ってしまうように思い一気にエスカレーターを降りた。すると外に出た途端にまた雨がポツリポツリと。
 角を曲がると目の前に現れた懐かしい広場が。緑の芝を踏んで回廊に入りエントランスホールを抜けまずはトイレに。昔は設備の整った綺麗なトイレだと思っていたのだが、今みると音姫もウォシュレットも何もついてない。もちろん清潔ではある。さっきの高級百貨店のトイレの中の小さいステンレスの台の上にはどう見てもインモウと思しきブツが一本(やれやれ)あったのに比べれば充分過ぎるほど好感が持てる。
 ギャラリーを観ようかと時間を確認すると、そろそろ閉館の準備に取り掛かろうとする時間になっていた。しかたがないのでショップに入って物色。大野一雄のDVDを見つけるも一万円ではちょっと手が出ない。ついで書籍「ボリス・ヴィアン伝」3,800円、うーん、と悩んでいると、飛び込んできたのがさっきチケットを買ったばかりのエリック・ロメールが表紙になっているnobodyでした。つまりはこれを買うためにココにきたということ。
 意気揚々とショップを後にするも、雨。そのうち止むかしら、と回廊の下でロメールについての記事を読み始めた。奇跡だとか、能動的待機だとか、だから私は十数年前にビデオで『緑の光線』を見た時、嫌悪感しか抱けなかったのだが…。つまり近親憎悪みたいなもん。あれから私は成長しただろうか?
 それはたぶん(恐ろしいことだが)、22日の夜に明らかになるだろう。だから映画はたかが娯楽と侮れない。雨はちっとも止みそうになく、しかたなくハンカチを頭に載せ雨の中へ飛び出した。