ドライブ―夜の3時間30分


 高速にはのらなかった。途中で夕食をとったり、たまには時間をかけてゆっくり移動するのもいいもんだ。
 窓を開け、夜風と干し草の匂いをいっぱいに吸い込む。流れている"English man in New York"とは程遠いはずの景色を、夜の帳が隠している。
 何処にいてもつきまとう異邦人のようなこの感覚。気がつけば、懐かしく思い出せるような時がくるとは思えないほどの年月が過ぎている。口元がヒヤリとゆるむのは、秋の気配のせいだけじゃない。