雪割草

　大昔、コンビニでいもとようこの「花曜日」という365日の花言葉の本を買った。それは掌にすっぽり納まってしまうほどのとても小さな本だ。

　花言葉なんて今時はネットですぐ検索できるけど、この本が私にとって特別なのはマーカーをつけていたから。家族の誕生日はピンクのマーカーで、育てたことのある花はブルーのマーカーをつけていたのだ。まあ、新しいカレンダーや手帳を手に入れると、私が真っ先にすることは家族の誕生日（姪や甥、義理の兄弟まで）を書き込むことだから、それはいたって自然なことなのだけど。
　なんて思いながらつらつら眺めていると、数年前まで夏になるとベランダを白やピンクや紫で彩ってくれたペチュニアの所のブルーのマーカーに目が止まった。

　６月４日、花言葉は「お別れ」。そうだったのか。ケンブはお別れの日に逝ったのね。動物霊園の斎場の人に誕生日を聞かれた時、それに代わる日を決めてなかったことに今更ながらに気づかされて愕然とし、すっかり混乱してしまって「子犬の時に海で拾ってきたコだからわからない…。５月くらいだって動物病院の先生が言ってたけど、正確な日はわからないです、うっ」と、いい年して人前で泣いてしまったった。まるでモノ扱いみたいでずっと避けてきた「拾った」という言葉も、その時初めて口にしてしまったんだ…。

　そして私の誕生日の花は雪割草、花言葉は「いつまでも待ちます」。そうか、そういうことなら待ちますよ。うん、いつまでも待ちますとも！

今日の花 : 雪割草