再掲載-1(2001.08.05)


 これは甥っ子K太が小学1年生の時のエピソードである。


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 先生に提出する夏休みのプリントの、「おふろにはいったとき、どこをていねいにあらいますか?」という設問の答え欄に、K太はなんと「せいきをあらう」と書いたそうだ。

 そのことで、姉の家では朝っぱらから「せいき(性器)」という言葉が乱れ飛んでいたというタレコミが妹から入った。


姉「Kちゃん、性器ってどこか知ってるの?」

K「おへそ…」

姉「Kちゃん、それは性器じゃないわ」

K「せいきだっ!せんせいがいったもん!」

姉「Kちゃん、先生はそんなこと言わないと思うわ」

K「いった!せいきだ!」(既に半泣き状態)

姉「じゃあ、今日先生に性器はどこか、もう一度聞いてごらんなさい」


 学校から帰ってきたK太にみなが一斉に注目していると、姉が静かに語りかけた。


姉「Kちゃん、性器はどこだって先生教えてくれた?」

K「おちんちん…」

姉「そう、じゃあプリントにはなんて書くの?」

K「せいき…」


 さすが我が甥、頑固である。プリントにはそのまま「せいきをあらう」で提出したそうです。


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 大きくなったら、ドラゴンになりたいと言っていたK太は、その後小、中学をおデブとして生き、闘争心ゼロにも関わらず、その体をなんとか活かそうと試みた母親(姉)に無理矢理通わせられていた柔道からも解放され、高校に入学して駅まで毎日15分歩くようになるとみるみる痩せて、3ヶ月で(もう見ることはないだろうと諦めていた)スリムボディに変身。
 「人を投げ飛ばすなんてイヤなんだよ」と言っていた優しい男の子は、この春、高校2年生になったのでした。