結果、スんバラシイわたくし

fleurette2011-05-09



 昨日は午後から某所のサイクリングロードに向かった。そう、文字通り向かっただけに終わってしまった。明け方まで『コールドケース3』を見てしまい、起きたのは昼近く。小さいバランス・パワーを2本食べただけで出掛けてしまい、人ひとりしか歩けないダートな坂道を見つけ調子に乗り、その後にくる急な坂道も登りきった後、ちょっとコースを変えれば回避できた緩やかな登り坂で力尽き、赤兎を道路脇に停めて小さな空き地で腰をおろして休憩。そのうち冷や汗が…。貧血だ。ウエストポーチからハンカチタオルを出し口元に当てて落ち着くのを待っていると、お天気雨が。それから10分程経ったろうか、左に折れる坂道の手前で追い抜いてきた、自転車を曳いて歩いていたおばあさんがやってきた。淡々と変わらぬ歩調で坂道を登ってゆく。つばの広い帽子、野良作業をしてきたのだろうか、ポケットの辺りに引っ掻き穴のある濃いグレーのスウェットの裾を長靴に押し込んでいる。腰の曲がったおばあさんの坂道を上がって行くしっかりした足どりを見ながら、敵わないなあ、と思う。

 休んでいる時、ケータイで大根の花を撮ったり、mixiで呟いたり。少し楽になってきたので、後は下り坂だけだからサイクリングロードまで行ってしまおうかとも思ったが、無理しないで帰ることにした。立ち上がって突き当たりの道路に出ると、すぐ目の前にコンビニが。助かった、と思うも車がなかなか絶えない。やっと道路を渡ってコンビニの横に赤兎を停めるとへたれこんでしまった。吐き気。しばらくしゃがみ込んで、なんとかチャリをロックし、落ち着きを装い「すみません、トイレお借りします」とレジの店員に告げてトイレに篭ること15分。トイレが二つあってよかったと、隣のドアの開閉音がするたび思った。腰をおろして休めたことと、いつ吐いても大丈夫な場所だという安心感からか、結局吐くことはなかった。昼間から、酔っ払いでもないのに、道端でゲボなんて粗相は妙齢の女性でなくたって避けたい。いや、全力で回避する。コンビニで買ったマスカットキャンディを一粒口に放り込んだ後、赤兎を駆った私は一度も降りることなく帰還した。

 実家の外付けの水道の蛇口とホースをつないで、初の水洗い。アパート前の西日のよく当たる場所でしばらく天日干し。乾いた頃を見計らって担いでアパート2階の部屋へ。

 いよいよメンテである。よくわからん。わからんが、10年もほったらかしにされてたのだ、何とかしてあげなきゃ、という思いだけ。

 ビニール手袋の上から軍手をし、スプレータイプの洗浄剤をおっかなびっくり吹き掛ける。落ちてるのかどうかわからない。水洗いの後だし。昨夜、カットしておいたウエスで、洗浄液が床にしいたマットに落ちる前に拭いてみる。

 ……。

 なんでよりによって黒を選んだんだ、私。これじゃ汚れが落ちてるのを確かめるどころか、濡れているのかさえもわからないじゃないか!

 しかたがない。次、クレ556。チェーンリングに吹き掛け、すかさず黒のウエスで磨く。

 おお、なんとピッカピカ!クレ556、すげ〜!

 気をよくしてクランク、ペダル、そしてリアギア?カセットスプロケット?(パーツの名前さえわかっていない)に気前よくぶっかける。さすがに手前のギア?リング?で隠れてる部分の錆は取れない。いつか分解して一枚一枚磨いてキレイにしたいな。ディレイラーは丹念に。なんか黒い小さい物体が落ちてくる…。

 チェーンは専用の清掃セットをまだ買ってないし、外れてしまったら直せないので今回は触らないつもりだった。そう、そのつもりだったのに……。

 クレ556の威力に気をよくした私は、これが染み込んだウエスでちょっとばかし磨くくらいなら問題ないんじゃない?と、チェーンに手を出してしまった。


 ふんふん、ふんふんふーん♪


 ガガッ。


 ふん?


 ぎ、ぎゃあ〜、チェーンぐぁわ!何!ベアリング?シャフト?何でもいい、は、挟まってるー!!

 ヤバイよ、ヤバイよー。落ち着け、私。チェーンを引っ張る。ディレイラーが下がる。ということはディレイラーを前に押してチェーンを緩めてみよう。ダメだ、取れない。何だ、このでっかい爪みたいなのは!なぜ動かないのだ。力か?サドルのフリップロックが動かせないのは錆び付いてしまったせいだと思っていたら、単に私の力が弱かっただけだった時のように、コイツも力技で何とかするもんなのか!?


 うりゃあ〜。


 カチャン。


 取れた!
 そして、チェーンも完全に外れた!


 ぎぃーやぁー!


 一番恐れていたことが起こってしまった。いや、起こしてしまった!


 えと、君はどこのコかな?このリングに掛かってたコ?それともココだっけ?でもそこじゃ、この爪くんが許してくれないんだよね。おかしいね。弛んでるね。ペダルくん、機嫌が悪いのかな?後ろに回ってくれないね。あ、チェーンくんのほうかな、機嫌が悪いのは…。


 ちがう。全部、私が悪いのよぅーっ!!


 この爪がある程度の力で動くということは、どこかにこのコを動かす所があるはずヨ。どこ、どこなの?両手の人差し指と中指を立てて額に当て、『鈴木先生』になってみる。


 ハンドル!そうだ、ハンドルの左側にもペダルの回転数が変わる変なダイヤル(付いてるからにはちっとも変じゃないはず)があったじゃない。


 ビンゴ〜!これでチェーンのリングを換えるのか、ほもほも。ペダルくん、チェーンくんも今度は詰まることなくスイスイ回転してくれました。やった、アタシ!




 こうして、ワタクシは自転車を乗り回すエテ吉くんから少しだけ進化することができました。


 ああ、進化ってスバラシイ!


今日の花 : ダイコン