今日のはじまり

　風の音がうるさい。時計を見ると５時をやっとまわったところ。遮光カーテンの下からは外の鈍い陽がわずかに漏れている。
　ベッドに横たわったままカーテンに手を伸ばすと、チラと見えた５月の空は白く濁っていた。

　こんなもんかあ、と、少し憂鬱な気分になる。少しだけ憂鬱な気分にするのに、じゅうぶんな重さを持った空だった。

　朝はまだ始まったばかり。今日も始まったばかり。そして５月の終わりも始まったばかり、か。