BACK TO BLACK

fleurette2011-07-24



 妙にリアルな夢を見た。

 二人の元上司(共に女性)が妹の資産であるらしいマンションの一室を事務所として借りる契約を交わしたのでよろしく、と言って意気揚々と微笑みながら私の前から去って行った。

 その部屋は白とエンジを基調とした落ち着きと清潔感のあるホテルの応接室のような部屋だった。が、これでは完全に妹たちのプライバシーが侵されてしまうではないか、と、契約書を調べると、明らかに妹たちに不利(ただ同然)なものだった。なぜ勝手にそんな契約を結んだのか姉に問いただしてみても一向に埒があかない。まるで洗脳されてるみたいだった。そういえば、姉は学生時代に私の大ボスのファンだったから、二人にうまく言いくるめられてしまったのかもしれない。とにかくまだ小さい姪っ子のためにもなんとかしなくちゃと、契約書を詳しく調べようとアパートに持ち帰った。

 アパートには既に私の仲間が何人かいた。男性が三人、女性が二人、外見が私も含めてまだ20代のようだ。知らない顔もいる。一人が契約書に手を伸ばし眺めだした。右手の親指と人差し指で顎を挟むようにして神妙な顔をしている。ちょっと長めの黒髪が書類にかぶさり、それを細く長い指でかきあげた。


 え?え?○○さん!?


 夢の中でこれは夢だとわかった。このあたりでほぼ半分は覚醒している。でも夢の中に出てきてくれたのが嬉しいのでしばらく喋らせておいた。こうなると意地でも目を開けたくない。目を閉じたまま夢とも妄想ともつかない物語を楽しみたいのだ。が、そういう執着心が出てきたあたりから物語は既に破綻し始め、自分でも気づかないうちに終わっている。つまり完全に起きちまったわけだ。

 寝ている間に見る夢はホントに面白い。今回みたいにリアルな感じのものもあれば、金髪碧眼で英語を喋ってたりする時もある。もちろん、目が覚めれば英語なんてそんな喋れないわけだが。なんかそれらしいことをちゃんと喋ってる。

 たぶん私は毎晩夢を見てる。ある程度は見たい夢もコントロールできる。寝る前に強くイメージすれば何かしらはかすめる。なのに、目が覚めるとすぐ忘れてしまう。だから、特に何もイメージしてなかったのに、こんなふうに記憶していられることは珍しいことなので、つい、何かメッセージでもあるのではないかと探ってしまう。時間の無駄遣いと知りながらも。


 エイミー・ワインハウス、27歳、永眠。