四つ葉のクローバー


11:00 出発

 最初、いつものように朝5時頃出発しようとしたが、考えてみたらそんなに早く出る必要はないんだと、また少しベッドに横になった。掃除、洗濯、水遣り。それから実家で作った梅干しでおにぎりを二個作り、和雑貨の店で買った金魚柄のしっかりしたかたい生地のハンカチに包んでリュクに入れる。汗だくになった時のため着替えのTシャツも昨夜のうちに用意しておいた。今日は荷物が多い、背中が暑くなるぞ。バナナジュースを一気に飲み干して、チャリを担いで階下に。

 今日はなんだか足が回らない。砂利の狭い坂道で止まりそうになったが、くそっ!と立ち漕ぎして上りきった。学生の頃はシングルのママチャリで登り切っていた坂道はギアを変えて立ち漕ぎはしなかった。さっきより登りがきつく長いから。MTBのせいなのか、ちょっと立ち漕ぎが怖いのだ。普通のママチャリよりも左右に固く揺れる感じがする。所謂ダンシングってやつ?だから砂利道ではタイヤが滑やすくてズコっといきそうで怖いのだ。

 実は日曜に初めて落車した時、後輪のブレーキのゴムの部分がめり込んでタイヤに当たり、後輪が回転しないというアクシデントがあった。あわや援軍を呼ぶようか?と思ったが、むんっと力で引っ張ったらうまくタイヤから離れた。が、今度は反対側のワイヤーが留め金から外れてしまった。しかしそれも適当に動かしむんっとやったらなんとなく嵌まってくれた。なんとなくと書いたのは元々がどう嵌まっていたのか覚えてないから。でも、走れたからたぶんこれでオッケーなはず。あと、やっぱりパンクも自分で応急処置くらいはできるようになったほうがいいな、とか。先週の火曜日に国道の隅っこで自転車を倒し、サイクルスーツをバッチリ決めてパンク修理してたロードレーサーのおじさまを思い出してそう思ったのでした。

 ワンコを見失った地点ではゆっくりと走り、左右の路地を見渡す。あのコは前足二本が真っ白なので、アスファルトに倒れていたテッポウユリにビクっとした。一緒に歩いた道、ここのところ続いた雨で匂いも消えてしまっただろう。

 サイクリングコースに入ってからは土手の下に注意を向けひたすら走った。橋の下をくぐるため一度土手下のコースに入る。上り坂の砂利道。立ち漕ぎして変速なし。立ち漕ぎ、ちょっと慣れてきたみたい。そんなに怖くなくなった。川。昨日、車で来た時越えたと思っていた川とは名前が違っていた。なんで間違えたんだろ?ピーヒョロロって鳴くのは鳶だっけ。四羽もコースの真ん中に。よく見たら「まむしに注意!」の看板がアチコチに。クマンバチ、何年かぶりで見た。かわいい。次の道路をわたったら後少し。飼い主を知らないか尋ねた除草作業をしていたおじさんたちは今日は川の反対側。皆土手に足を伸ばして休憩していたが、みんながこっちを見てるような気がして軽く頭を下げた。手を振ればよかったか。私はサイクリング中に行き会った人には挨拶をしている。が、ロードレーサーは無理。彼ら速いし、そんなの頭からないみたいだもの。

 田んぼロード。いない。あの時みたいに、いつの間にか足元に瞬間移動したみたいに現れてほしかったけど、きっとまだあのコンビニの辺りにいるんだ。あの男の人、アパートかな、優しそうな人だったからもし自分で飼えなかったら、実家とか飼ってくれる人を探してくれると思う。

 引き返して県道を渡ろうとした時、交差点の所にコンビニらしき看板を発見、トイレ休憩する。コーヒー牛乳とカロリーメイトフルーツのハーフサイズを買う。店の前でコーヒー牛乳は一気飲み。コースに戻ってしばらく走り、そろそろおにぎりを食べようと景観と居心地(だってまむしが!)がよさそうな所で赤兎を止めた。停めた所のクローバーに目を向けて、あ、ここはありそう、と思った数秒後、見つけました。



 ケータイで「また目が合いました」と画像と一緒につぶやくと、数分後に「すごい、よほど運がいいんですね!」のコメント。気をよくして、いつものことなのに、そうだ私は運がいいんだ、帰りに会えるかも!とまた期待してしまう…。


 家の近くまで戻ると、角からチャコがトコトコと一匹で歩いてきた。痩せてはいない。自転車を止めると前回のことを思い出したのか、サッと後ずさった。が、何もしないとわかるとまたトコトコと行ってしまった。くるみと違って、瞳に輝きがなく、人間のように虚ろな目をしていた。相棒はどうしたのだろう?


走行時間:3:37'13
走行距離:43.42km
平均速度:11.9km/h
最高速度:43.1km/h
消費カロリー:362.1kcal
積算距離:450.9km