招かれざる客

fleurette2012-03-06



1967年 アメリ

監督:スタンリー・クレーマー

出演:スペンサー・トレーシー、キャサリン・ヘップバーン、シドニーポワチエ、キャサリン・ホートン


 夜、BSで『招かれざる客』が放送されるのを知って見ようと思っていたのに、すっかり忘れて最初の20分を見逃してしまった。

 それでもやはりよい映画、観ることができてよかった。シドニーポワチエが父親に噛み付くとこなんか、まさに現代の機能不全に陥った親子に見てもらいたいくらい子供(という立場)の気持ちを代弁していたように思う。

 白人の娘(キャサリン・ホートン)との結婚に反対し、ここまで立派になったのは誰のおかげだ、毎日重い鞄を持って働いて、夜は芝刈りのアルバイトをして高い教育を受けさせてやった親に逆らうのか、と言う父親に、重い荷物を持ったのはそれが仕事(郵便配達員)だったからだ、学校に行かせたのは子供を持った親の義務だ、そういうので縛りつけないでくれ、子供は親の所有物じゃない。子供の未来を自分の人生に重ねて見ないでくれ、それでは父さんが死ぬまで何も変わらない。父さん…、父さんを愛してるよ、と。

 まあ、一字一句間違えずに覚えられるわけがないので、大体こんな感じだったかな、くらいに。

 あとキャサリン・ヘップバーンの母親もカッコ良かった。好奇心丸出しでのぞきに来て黒人と結婚するという娘を持って同情するなどとほざいた女性に、「何も言わないで画廊に戻ったら5,000ドルの小切手をきってちょうだい。あなたの気に入っていたランプも持っていっていいわ。そしてその小切手を持って、二度と私の前に現れないで」と。

 外から戻ってきた母親に、あんな人クビにすればいいのに、という娘。考えることは一緒ね、というような顔だけして、もうクビにした、などと余計なことは愛する娘には語らない。

 最後の、二人の結婚を反対していたスペンサー・トレーシー演じる父親の演説もよかった。自分たち夫婦の絆の強さもちゃっかりおりまぜながら。その時のキャサリン・ヘップバーンの表情がまたいいんだ。実際、スペンサー・トレーシーは奥さんがいたのだけど、キャサリン・ヘップバーンと実質上の夫婦のような関係だったらしい。確か『アビエーター』でもそんなくだりがあったよね?