いよいよ鎌倉散策

青のお多福



 二日目の24日日曜日、11時にチェックアウト。予定より1時間遅くなる。これもマッサージベッドのせいざんす。鎌倉に着くと殺意を覚えるような混雑ぶりに愕然とする。江ノ電の連絡改札ではじかれる乗客続出。実はワタクシも。自動改札横の駅員さんのところには事態がわからない乗客の行列ができる。たまらず、駅員さんが「ここは江ノ電のチケット持ってる人の連絡改札だから!江ノ電のチケットを持ってない人はそっちの改札から一度出て!そんでチケット買って江ノ電側の改札から入ってくんなきゃ!ぷんぷん!」というような内容をもっと丁寧な言葉でアナウンスしてました。賢いワタクシは江ノ電ののりおり君(1デイパス、580円)を購入。その前に間違えて100円お高いモノレールも乗れるJRの1デイパスを買って払い戻ししたのはここだけの話。


 ホームに出ると人が溢れ返っている。単線なので混雑の影響で遅れまくっているもよう。この時期の鎌倉がこれほど凄まじいとは。いったい何分まったのか、待ち時間の看板が出ていたがあちこちで待たされたので、今ではすっかり抜け落ちてしまった。大量の哺乳類を吐き出したハコに入れ替わるように大量の哺乳類が乗り込む。やがて動き出した地獄列車に揺られて降り立ったのは極楽寺、ではなくて長谷寺だった。狭い歩道に人、人、人。



 案の定、長谷寺では「紫陽花路散策 待ち時間150分」(断念したからここの待ち時間は覚えている)の看板が立っていた。いやーん。しかたないので大仏を観に行く。中学?の修学旅行以来か。そんなに大きくなかったんだな。



 昨日の時点ですでに足の指や裏にマメができていて玉砂利の上を歩くと痛くてしかたがなかった。ベンチに座り休憩。今日もそんなに陽射しは強くない、が、こうやって歩いているとやはり汗は噴き出すし髪も顔にまとわりつくので、二つに分けて三つ編みにしてみた。たったそれだけでかなりスッキリ。次は御霊神社。短い紫陽花散策コースはすぐ渋滞になる。前で大きなカメラを持って写真撮影している人が細い道をいっぱい使っているのだ。後ろで文句を言ってる若い女性がいたけど、でも、撮りたいよねえ?


これは境内の中にあった八丈千鳥、だったかな?


 流れに沿って歩いていれば成就院にきっと着くんだろうな、と思うも、いやそんなことわからん。昔、京都の嵯峨野で観光客と思しき老夫婦の後をついて行ったら畑の畦道を歩くはめになって、案内役の京都在住の同行者が「あの老夫婦に騙された!」と嘆いてたことがあったじゃないか。



 御霊神社の踏切の所に立っていた、目のギョロっとした警備の人に尋ねると、思いの外大きな声で丁寧に教えてくれた。成就院の坂道は変わらず渋滞。女の子の二人連れが写真を撮ってほしくて前の人に声を掛けていたが聞こえなかったらしく「ああ…」と項垂れていたので、撮りましょうか?と声をかける。差し出されたiPhoneで撮影。大丈夫か確認してね、大丈夫です、ありがとございます、そんなやりとり。



 門をくぐり、龍の口から滴る水で手を洗い、それからしばらくまた待つ。



 ここは今流行りのパワースポットとかで、不動明王像をケータイで撮って待受にすると御利益があるんだとか。皆、神妙な顔をして深々と頭を下げ祈った後に恭しく取り出したケータイで写メを撮っていた。が、私ときたらその不動明王像の裏側を見た時に「うわ!ちゃっち〜い。こんなんでホントに御利益あんの〜?」なんて思ってしまうわけだ。なもんだから、罰が当たったのか。今までそんなヘマやったことないのに、画像を大きくしようとして間違えてムービーにしてしまった。え、何?今の変な音は…私か?て、事態も撮れてるかどうかもわからないままその場を逃げるようにして去ったのであった。写メを撮った者ならゴマンといるだろうが、ムービーなんて超レアだと思うぞ!



 うーん、どうやったら縦にできるんだろう?


 それからそのまま突き進んで極楽寺へ。お昼もとらずに歩き疲れて、茶屋で心太を食べようと思ったら売り切れ。とりあえず何か食べたいと思ったのだけれど、マイミクさんの写真を飾っている鎌倉駅近くのお店でご飯を食べようと思っていたので、ぐっと我慢して駅に向かう。途中、紫陽花を撮ろうと構えていたデジカメに電線の上を走るリスが飛び込んできて思わずパチリ。わかるかな?



 ホームに入ってきた電車は藤沢行きだったけど、どうせ単線だから戻ることになるし、のりおり君だし、と鎌倉とは逆方向に。だって座りたかったんだもん。


 鎌倉に戻ってきたのはちょうど5時。カパンという小さなお店をたしかこの辺なんだけど、と空腹と疲れで朦朧としていたわりには比較的早く見つけることができた。店内に入って席につこうとした時、お店の人に「すみません、5時までなんです。でもお持ち帰りなら大丈夫ですよ」と。どっひゃあー、ちゃんと調べてからこようよ、私。どうりで店内にいた常連っぽい女性二人組が冷たい視線を投げかけてると思ったよ。(ちゃんと「close」の看板もドアの真ん中にかかってましたよ!はっはっはっ)しかたがないのでチーズケーキを4つ買って(美味しかった)、近くのケンタッキーでフィレサンドセットを。食事をとって少し回復し、まだ明るいこともあったので、当初いくつもりのなかった鶴岡八幡宮まで足を延ばすことにした。お土産は、その途中にある「こ寿々」のわらび餅と決めていたが、やはりこの時間帯では完売だった。


 境内に入ると屋台も店じまいをしている。近代美術館では「鯰絵とボードレール展」が始まっていた。小学校の標識。こんな所に学校があるなんていいなあ、なんて思いながら本宮前に到着。土台だけになってしまった大銀杏や本宮の写真を撮って石段を上がると、今度は若者男女6人のグループに写真を頼まれる。またiPhoneだ。







 繰り返す二礼二拍手一礼。まったく人影のない丸山稲荷社でも。いったい何度したことか。帰りは参道の段蔓の中をゆっくり歩いて駅まで。足が痛い。浴衣を着ている人もいる。足が痛い。お土産、どうしよう。足が痛い。途中で手焼き煎餅を買って、あとはもう考えるのも面倒になってしまって駅前で定番の鳩サブレーとお抹茶用の干菓子を購入。帰りの電車ももちろん混んでいてずっと立ちっぱなし。


 東京駅のコインロッカーから荷物を取り出し、高速バス乗り場のある八重洲口へ。この連絡通路も遠いっちゅうの。モンパルナスにあったみたいな長い動く歩道がほしい。最終便から変更してもらった9時代のバスの中で滅多に鳴らないケータイが鳴る。が、電話には出ずにメールで返信。わが愛する姪っ子のPちゃんから来た返信は「もう、帰るね♪」だった。そう、私が鎌倉に来ている間に実家に遊びに来ていたのだ。ううう、そうと知っていれば日にちをずらしたのに…。そして妹のいうことには、私たちiPhoneに換えたんだ♪と。私も換える。いつか。