Time After Time

苺



 先週のこと。昼休みにアパートに戻ると、今年入居したヤンキー青年の部屋の前のフェンスに大量の洗濯物が干してあり、作業着の中に混じってベビー服が掛けてあるのに気付いた。夕方、帰宅して宅配の荷物を大家である実家に取りに行った際、「一階に赤ちゃんいるの?」と訊くと、障子の向こうから「いるよ!よく泣いてるよ」と甥っ子Kの元気な声。その夜、初めて赤ちゃんをあやす男性の穏やかな声に気づいた。


 そして翌日、帰宅して集合ポストの郵便物を数日ぶりに取りに行くと下の部屋の人のポストにガムテが貼ってあり、引っ越したのかな?とすぐ横のドアに目をやると、ドアが少し浮いていて鍵がかかっていないことに気づいた。いくら空き部屋でも不用心だと思い、また実家へ「下の部屋の人引っ越したの?ドアの鍵が閉まってないんだけど」と言うと、またまたKが「フルちゃん知らないの?その部屋の人亡くなったんだよ!」と。出社しないと連絡を受けた家族が様子を見に来たら…。警察が来て大変だったらしいが、事件ではなく病死だったそうだ。私より若いのに。孤独死、か。いつ自分の身に起こっても決して不思議ではないことだな、と思った。


 が、そのことよりも、この小さなアパートでわずか二日のうちに人の誕生と死を知ることになるという不思議。なにか信託めいたものがあるのだろうか、などとしばし考えてみたりする今日この頃。