『六月の蛇』(DVD)


2003年
監督:塚本晋也
出演:黒沢あすか神足裕司塚本晋也寺島進田口トモロヲ鈴木卓爾


ベネチア国際映画際でなんか賞をとったらしいデス。と、前置きを忘れない。なんかこういうピンクではない(よく知らない)、男女の深遠な部分をえぐって描くエロスって、実はエロスよりもその真面目過ぎる重さみたいなものばかりのしかかってきて、ああ、私は全く「思うツボ」の反応してるよなあ、と思いながら、ラストの若く美しい妻とお茶の水博士みたいな夫のセックス・シーンで涙したりするのでした。


一見、それぞれの理想の生活を送るための条件だけでくっついたようにしか見えない一組の夫婦に、ある日突然一つの起爆剤が与えられ、愛に目覚めるというか(やっと夫が)性欲に目覚めるというか。キレイにマジメに(若い妻の)欲望を描いてると思いました。この起爆剤ってのが、肝心要なわけだけど割愛。

石井隆の名美シリーズ(『死んでもいい』は大好き!)を見てる私はわりと普通に見れましたが、子どもは見ちゃダメってことね。


黒沢あすかは全然知らない女優さんでしたけど、なかなか頑張っていたと思います。『でらしね』って映画にも出演してるんですね。夫役の神足裕司は初めはセリフ回しに素人っぽさを感じたキワモノキャラだけど、だんだん気にならなくなる。器用なオッサンですね。でも、役者じゃないと知った途端、何もコラムニストにそんな役やらせなくても、と思ったり。いや、ソレさえ知らなければ、普通にソッチ系の役者さんなのかなあ、と。それで言えば、私は昔から寺島進のシャベリがダメで。なんかツメのあまさを感じてしまう。


重くて暗いストーリー展開ですが、最後に光が射し救われるので、何よりも監督の愛を感じます。