習慣を変えたヒト


お風呂に入る時くらいしか、腕時計をはずさないという生活を何年も続けていた。が、今は家に帰るとすぐはずしてしまう。


10年以上身に付けている今の時計。プレゼントされた時、私の細い手首に大きすぎて後で時計屋さんに持っていって詰めてもらうからと言ったのに、今すぐ身につけてほしかったようでその場でドライバーやらなにやらを持ち出し、無理矢理やったものだから新品の時計があっと言う間にキズだらけになってしまい、そのことで口ゲンカ。「後できっと、あの時○○が直してくれたんだっけ、て、いい思い出になるよ」って、その言葉は正しかった。が、実際はまだまだ緩かった。


金属アレルギーだったため、最初にプレゼントしてくれた時計を身につけて手首がカブレテしまったのを見て、「カワイソウに…」と、これならカブレナイからとチタンの時計を探してプレゼントしてくれたのだった。


夜には時計をはずすという習慣を自然と身に付けさせてくれた人。


彼と過ごした日々を思うと、「愛されていた」ということを、何の疑いもなく信じられる。愛情たっぷり受け止めて育った人は、愛することや愛されることにタメライやウタガイなどないのだろうな。彼が羨ましかった。


私には人を愛する才能がない。