真夜中の世迷言


夜中にジャン・フィリップ・トゥーサンの本が何冊かあったはず、と探してみると『浴室』と『ムッシュー』を発見。『浴室』の方は、何年も前に知り合いのデザイナーの方に『C階段』という映画が好きだと言ったら、「僕も。じゃあ、この本もきっと気に入るよ」と渡されたまま、借りっぱなしにしていたものだ。


表紙をめくると、これまた懐かしいものが出てきた。安齋重男氏によるジョン・ケージのポスト・カード。これも10年ほど前に、当時勤めていた某所の美術部門の来客だったアートディレクターの浅葉克巳氏が、隣の演劇部門にいた私たちの所へきて、唐突に「よかったら好きなのどうぞ」と数枚のポストカードを差し出したのだった。何もわからないまま「じゃあコレを」と選んだのが、ジョン・ケージだった。


懐かしい、と思いながら、ほんと私ってば何の予備知識もないくせにアート系のものは瞬時に見極めてしまう、そういう自分の直感的な感性を信じてるところがあるよな、と。センセイが言ってた、私が持ってる何かって、このことだったのかしら?とか思う。