『嫌われ松子の一生』


2006年 
監督:中島哲也
出演:中谷美紀瑛太伊勢谷友介香川照之市川実日子黒沢あすか柄本明


いや、『嫌われ松子の一生』、洒落にならんです。身につまされる、という意味で。


随分長い予告編だなあ、と思っていたら既に本編が始まっていたという、その辺の作りがやはりCMをやっていた人の切り口というか、これは映画なのか?と思ったりも。全体的に音楽のプロモーション・ビデオの豪華版のような、電波系の映画という感じ。先日観たばかりの『アメリ』とかなりカブッて見えました。が、松子はアメリよりもはるかに強烈な変人です。考えの足りない短絡的な行動で、自ら不幸になっていくというのが日本版アメリといった感じ。原作は読んでませんので、まあ、適当なこと言ってしまいますが。


最初の作家志望の恋人とはどうやって知り合ったのかわかりませんが、それ以降は近寄ってきた男に身を任せ勘違いにまたがって(キヨシローの歌みたいですね)生きていたような感じ。男と別れて自立すると、今度は無性に寂しくなってしまう。寂しさから手当たり次第に近寄ってくる男に愛の妄想を抱いたり。最後はもう賭けだったのだと思います。この人を放したら、もうずっと独りだと。松子にとって一番恐ろしいものは孤独だったのでしょう、誰もいない部屋で「ただいま」を繰り返します。そんな松子の愛を、元教え子でヤクザになってしまった恋人(おそらく松子が初恋の相手ではないかと)は、「神の愛」だと。まあ、彼も孤独で類友なわけですね。そんな不幸な松子を明るく楽しく描いているから正視することができるわけです。なんとなく『アリー・マイ・ラブ』のキャリスタ・フロックハートを思い出したりもしました。


で、冒頭に書いた「洒落にならん」というのは、その死に様のこと。以前、夜、コンビニ前で下級生と思しき男子1名をタバコを吸いながら5、6人の中坊が取り囲んでいたので、タバコを捨てさせた後「もう遅いんだから帰りなさい」と散らしたことがあるからです。妹たちにそのことを言った時「刺されてしまうかもしれないからヤメテクレ!」と。以来、自重してはおりますが。たまに「お前の副流煙なんか吹いたかねえんだよ!」と言いたくなる時があります。ソレが好きな人のものだったら、自ら接吻して吸い込んでしまうかもしれませんが。まあ、「恋は盲目、アバタもエクボ」、覚めない夢、冷めない愛情って素敵じゃないですか。(無いものねだり)


たった一つの愛のため生きていくわ
Love is Life