イングロリアス・バスターズ


監督:クェンティン・タランティーノ
出演:ブラッド・ピット


うーん、思っていたほど笑える作りにはなっていなかったですね。デビッド・ボウイのキャットピープルがベタな感じで大音量で流れ出した時は軽く吹いてしまって、それから頭の中でずっと一緒に歌っていましたが。

これまでは許せる範囲で見逃していた突っ込み所が、仕掛けが多かったせいなのか、なぜ?と思わずにはいられないほど詰めの甘い展開に違和感を感じつつ、ああ、これが予定調和ってヤツなのかしらと思ったりして、どうしたんだタラちゃん?と、少し心配になったりも。嘘です。そんなに見てません。知りません。

でも、普段映画を見る時、役者の演技しか見てなかった私に初めてそれ以外の、つまり「この脚本、すげーっ!」と思わせたのが、『トゥルー・ロマンス』だったりしまして(ちなみに、このボロカッコイイ衣装は誰が?と思わせたのは黒沢清の『アカルイミライ』)、『キル・ビル』にいたっては残虐シーンが苦手であるにもかかわらず、血飛沫が飛び交う度に、観客が二人というホームシアターと化した小さな小屋で前方でビビりまくる女子を尻目に、腹をよじって大笑いした記憶があったりするものですから些か拍子抜けになったり。

オープニングの西部劇(アパッチにかけたのか)を思わせるような緊迫感、ユダヤ人一家を匿っていた寡黙な農夫役の役者の演技が達者すぎて、オーバーアクト気味の他の役者と異質、というか、そこだけ別の作品のような。
個人的には、彼のような渋いオッサンがタイプだったりしまして。でへへ。

で、終映後に出た感想は「まさにイングロリアスだったね」(友人と鑑賞)でしたが、なんだかまだ腑に落ちない感じでスッキリしていません。


☆☆ 追記 ☆☆

(スッキリしたわけではありません)

カチンの森」みたいな所で、残虐さではナチスSSに負けないアパッチたちが大佐を埋めなかったのは、額に刻印をつけて生かす方が愉快だったから。つまり軍人としてじゃない。

ヒトラーさえも裏切る狡猾さを持ちながら、まともじゃないナチス・ハンターのアパッチたちを前に大統領に勝手な要求を得意げ並べ立て交渉成立とする大佐は、どこまでも(ご都合主義ではあるが)軍人だった。

あと、ヒロインの影が確かに薄かった。id:andre1977さんのいうように力量不足は否めない。

最初、「ユダヤの熊」と呼ばれる人物がトンネルの中でバットの音を不気味に轟かせていたシーンでは、暗闇の奥から復讐の鬼と化したあだ名とは真逆のヒロインの登場を期待してしまった。

深読み。