深夜高速


 暗い雲で千切れ千切れになった月を目指して走ってた。

 山あいの、走行車の殆どない高速道路。ちょっと前まで、大声を出して泣いたり喚いたり。この時だけ思いを吐き出してみたって誰にも届かない。だからいい。

 一人の夜のドライブが好きな理由の一つ。

 いつか、海に沈む夕陽が見たいな、と、まるで作りかけのパズルのようになってしまった哀れな月を見てそう思った。