カルバドスのお湯わりで


 たとえ赤の他人でも、幸福な門出に出くわすと祝福せずにはいられない。
 今夜は祝杯だ。インスタントのコーヒーなんて飲んでいられない、とか言って、煎れたばかりのコーヒーを流しに捨てて残っていたカルバドスを出す。
 ベルガモットのロッソがまだたんまり残っているのは、もう私には若すぎる味だからかな。(笑)

 昨日は初雪のニュースがアチコチで流れた。やた。冬だ、冬は来ぬ、だ!特にウィンタースポーツ好きというわけではないのだけど(以前の仕事でウィンタースポーツはご法度だったため、以来ずっと。今は姪っ子に付き合っておっかなびっくりアイススケートをする程度)、全ての存在を消してしまうかのような一面真っ白な世界でたった一人、自分の存在だけを感じる瞬間が子どもの頃から好きだった。

 誰もいない夜のプールも。一人ぷかぷか浮かびながら、水中から聞こえる自分の呼吸だけにただ耳を傾ける。何も考えていないのに、母胎の中から無限の広がりを感じるような、まるで宇宙に放り出されたような感覚に陥る。

 昔、不思議な夢をみたことがある。

 夜、部屋で勉強していると、見たこともない鮮やかな青い鳥が窓にとまっている。お腹が空いてるのかな、と、なんとなく苺をやると美味しそうに食べた。しばらくして今度は私にココを開けろと言わんばかりに窓を突くので、観音開きになっている洋風の窓を私は両手いっぱいに大きく開けると、そこには、宇宙が広がっていた…。

 というそんな夢なのだけど、驚いたことが一つ。頭に孔雀の頭部にある冠のような羽根を持ったその青い鳥はホントにいるのだ。名前は忘れたが、南国の鳥だったか…。
 あ、だからプラネタリウムが好きになったのか。まだ十代だった頃にみた夢を思い出すとは、久しぶりのカルバドスにちょっと酔ったみたい。(笑)