岩手1日目

fleurette2012-03-18



 移動日。馴染みのある太平洋を臨む沿線から初めて乗る山間の単線ワンマンカーを乗り継いで遅れることなく無事新幹線やまびこに乗車できた。

 ホテルにチェックインして、ちょっと休んでからベイシーに向かう。ジャズファンならもうお分かりだろう、そう、ここは一ノ関。

 日曜の夕暮れ時だから、か。町全体が暗く沈んで見える。ベイシーに着くと、ドアには急遽決まったのであろう、手書きの復興支援ライブを知らせる貼り紙があった。今夜7時。まだ1時間以上ある。夕食をとってる間に時間になるだろうとレストランを探すが見当たらない。しかたがない、ホテルに戻るかと諦めかけた時にカフェの文字。中に入るとジャズのナンバーが流れている。オシャレ。でもタバコの臭いはジャズとは切っても切れないものなんだな、と、こっちは完全に諦めた。

 夕食を終えて、ベイシーに向かうとタクシーで乗りつけたお客が。新潟から来たそうで、やはりこのライブのことは知らなかったと。店の中央には小さなステージ。奥のカウンターの後ろには壁一面にレコードがビッシリとひしめき合っている。関西から復興支援でやって来たグループのボーカルの繰り出すナンバーは純粋なジャズというよりジャズ風の昭和歌謡江利チエミテイスト。でも、ノリノリでとてもとても楽しく盛り上がった。なのに、なぜか最後にテネシー・ワルツを彼女が陽気に歌えば歌うほど目頭が熱くなってきて、場違いな涙を堪えるのに大変だった。隣に座った地元の紳士が言うには、ここは全国からジャズファンがやってくるけど開いてないこともけっこうあって、他県の友人は自分の所に開いてるかどうか確認の電話をしてから来るのだとか。しかも普段は日曜のこんな時間にはやっていないそう。今日のライブもホントに急に決まったらしい。どうやらこの偶然は偶然じゃなく、必然だったようだ。

 明日は平泉へ行って世界遺産中尊寺へ。その後花巻へ移動する。