岩手2日目

fleurette2012-03-19



 昨夜は何だかんだで4時就寝。朝食は一番最後になったけどちゃんと時間内。電車の時間が10:35なのでチェックアウトの時間ギリギリまでのんびり過ごす。

 平泉の駅に着いてすぐ、殆どの人、というか私以外の人は中尊寺を目指したが、私は毛越寺を目指した。車が走っていなかったのとボーッとしていたので横断歩道の真ん中でこけそうになってハッと我に返るとなんと堂々と信号無視していたことに気づいた。慌てて「うわっ、信号赤だった!」と飛び込むと、反対からやって来たおばあさんが「だいじょうぶよ〜」と。

毛越寺はこっちでいいんですか?」

「そう、ここをまっすぐ行ってすぐよ。でも駅からバスが出ているわよ」

「あ、いいんです。ウォーキングを始めたんですけど最近サボり気味だから歩こうと思って」

「あら、私も歩いているのよ」


 と、そこからちょっと立ち話がはじまり、最後には「ウチはね、駅のすぐ後ろなのよ。せっかくだから、時間があるようだったらお茶でも飲んで、ねえ?」

「ありがとうごさいます。でも着いたばかりだし、この後は花巻に移動するので…」

 なんてフレンドリー!10年住んでいた東京から移り住んだのだと言ってたけど、きっとこの方も自然に平泉に溶け込んでいったのだろう。ああ、お茶したかったなあ!

 快晴の中、毛越寺着。おさい銭を投げてお参りしようと思っていた正にその時、奥から読経が響いてきた。なんだか御利益がありそうな気がしてとなりの御神籤で運試し。大吉!愛情運、素晴らしい相手に巡り会える、と。ホントだな〜(笑)。

 お天気雨ならぬお天気雪の中、中尊寺目指して歩き出すと、「ウォーキングトレイル、夢の散策」なる小路を見つけてしまった。夢は夢でも悪夢の方だったとは、その時の私は知る由もなかった…。


 続く。


 続きを詳細に書いたのに、粗相をして全部消してもうたー!もう、いやだ。端折って書きます。つまり、そのウォーキングトレイルの看板に騙されて、雪山で遭難しかかったってことです。地元民すら歩いた形跡がなさそうな山道は通行止めの看板を立てましょう、と。ズボッズボッと一歩進むごとにブーツが沈むんですよ。こんな所で足滑らせて怪我でもしたら助けも呼べんがな。熊が出てきても不思議じゃない。そうだ、笛。昨今の地震ですっかり防災意識が高まって、この間買ったピンクの小さい笛のついたストラップを首からぶら下げているから、熊対策は大丈夫。バッグには小さい懐中電灯もある。ウォーキングするならと、駅でポカリスエットも買った。キャンディーとガム。二、三日はこれで生き延びられるべ、と、ケータイを取り出し一面雪景色の写真を撮りミクシのつぶやきにアップする。ケータイの使い方を間違っているような気がする。


 出だしはこんな感じ。


 ちょっとしたハイキング気分。


 あら雪がまだ残ってるのねん…。


 残ってるどころじゃないっつーの!


 約2.5kmの道のりを1時間半かけて歩き切った。ロードレースが不安だ。やっと道路に出ることが出来、大きな建造物が見えた。中尊寺?道標はなかったが杉林のけもの道が近道だろうという勝手な自己判断のもと、どんどん突き進むと、人ん家の庭に出た…。


「お、おかりします」


 子供の頃、鬼ごっこをしてよその家の敷地を通り抜ける時は、大きな声で「おかりしまーす!」と、叫びながら走り去ったものだ。(遠い目)そそくさと元の道路に戻ると観光バスが追い抜いていった。田んぼの向こうに駐車場が見える。歩いてる人なんて、私以外にはホントに誰もいないんだゼ。

 田んぼの中を通ってショートカット。蕗の薹があちこち至る所から顔を出している。遭難する前に山の中で摘んだ蕗の薹よりおおぶり。

 金色堂のすぐ横、チケット発売所の前に出る。せっかく来たからと家族全員分のお守りを買う。売り場のおばさんにウォーキングトレイルを歩いて来ちゃいましたとバカ自慢をすると、「え?ああ、そういうのが出来たのよね。一度歩いてみたいと思ってるんだけどまだ。まあ、今はもう熊は出ないでしょう」


……。お願いです、愚かな観光客を増やさないよう「冬期通行止め」の看板を立ててくだたい。

 たっぷり余裕をもって立てたスケジュール通りの電車で新花巻移動。平泉を離れた途端吹雪。これぞ東北、と厚い雪雲で濃いグレーに変わってゆく車窓にワクワクした。

 新花巻着。誰?ワクワクしてたバカは?

 アタシだよっ!

 真っ暗、何?マチコ巻きしたピンクのショールが強風ですぐ落ちる。ゆ、雪が激し過ぎる。折り畳み傘を差して、人っ子一人いない暗い吹雪の夜道を歩いているうちに本当に遭難(迷子)してしまった。とりあえず、道を聞けそうな所、つまり明かりを目指して歩くと、スイミングスクールが見えた。そこのガラガラの屋根つき駐輪場に避難し、ケータイで宿に電話をすると(ケータイの使い方を学習!)、なんとすぐそばまで来ていた。

 18:30民宿着。女将さんは雪ダルマ状になっていた旅行バッグを丁寧にはらってくれた。お風呂は貸し切りで30分交替の順番制、皆到着が遅いから早い方がゆっくり入れると言うので7時に予約。

 一番風呂。しかも檜風呂で香りがよく、ほぅ〜とやすらぐ。サッサとシャンプーを済ませ湯舟の中で肩までつかりあったまる。部屋に戻って時計をみると19:30。ピッタリ。

 朝食のみで夕食はついてないので、途中で買ってきたパンと、何のために持ってきたのかわからない手作りチョコレートを全部食べて就寝。

 この宿もダブルベッドの洋室が一室空いているだけだったのだ。まるで私の宿泊を待っていたかのように。が、ダブルベッドは大きすぎて、寝返りをうつと布団が冷たかった。

 明日はいよいよ最終日。当然、宮沢賢治記念館である。


 持ち帰った本日の収穫。