やっとのハイキング


 土曜日は平日の睡眠不足を解消する日だというのに姉からの電話で起こされた。


 「○○山、行く?」

 「行く!」


 45分で全ての用意をした。長かった。ここまで長かった。いつでも春山に連れて行ってやるようなことを言っていた自称登山歴15年の山ガの姉よ、私はこのまま夏も過ぎてゆくのではないかと案じていた。やっと日の目を見ることになった登山ウェアたち、なんと履き心地のよいメレルのシューズよ!

 登山口まで送り迎えをしてくれるという義兄の納車されたばかりのジムニーマニュアル車で、誰も運転できないんじゃない?と言うと、ふふふ、と薄ら笑いが返ってくる。それが狙い…か?


 いつものようにあらぬ方向に向かって走り出す義兄。タイムロスすること多し。目指す駐車場につくと、年配の男女3人組がスタートするところだった。ここでいいんだ間違ってない、と安堵。まず軽くストレッチ、それからトイレ。これが大事なんだ、と。それから全く下調べしていなかったので(する暇がなかった)コースを確認しようと駐車場にあった二つの登山コースの書いてある大きな看板のところへ行くと、両腕を腰に当てそれを眺めながら自称登山歴15年の山ガが放った言葉に私は驚愕した。


 「登山は午前中に終わらせた方がいいって言われてるんだよねぇ」

 「あの、マジで言ってますか?」


 時刻は11時半をまわったところだった。


 看板に描かれたおおざっぱ過ぎるコース地図によると私たちが目指している○○山までは170分、もう一つのコースは○○山より低い山で200分とあった。が、その先には駐車場のPの文字が。私は恐る恐る自称登山歴15年の山ガにコース変更を提案した。


 「なんでよ。そっちの山よりちょっと高いだけだよ〜、それに170分だよ!」

 「ね、帰ること考えたらそれ倍にしなきゃ。こっちの山の先には駐車場があるんだよ」

 「ん、変更」


 帰りはここの駐車場に迎えに来て、わからなかった調べてね!と、義兄に指示する姉。やっとスタートである。登山口までの舗装された広くゆったりした坂道を歩き出してほどなく、後ろを歩いていた自称登山歴15年の山ガの様子がおかしいことに気づいた。すでにハア、ハアと息が荒い。昨夜のニュースで見た下水路に潜り込んでスカートの中を覗き込んでいたという変質者と重なる。コ、コイツは…。


 「Bちゃん、登山ってどのくらいしてるの?」

 「ん?年に一回はしてるよ」

 「そ、それはほぼビギナーでは…」

 「そうだよ、初心者を15年間続けてるようなもん!」


 一抹の不安がよぎる。が、まあここまで来てしまったし、小学生が遠足でも来るような山だし。と思ったが、やはりあまかった。激あまだった。


 つづく。かな?



* * * * *

 

 本日帰宅したら届いていたオスプレイのマンタ25。



 3リットルのハイドレーションシステム装備。今日持って行ったデイパックと見た目同じ大きさだけど、容量は入らなそう。体が小さいから25にしたけど30でよかったかな。でもまあ、自転車にも負担なく使えそうだしいいか。それになんたって41%オフで買えましたからね!