砂の女


私はこれまで、愛した人には、誠実でした。裏切ったことがない、相手の過ちで私の愛を枯らしてしまうような非常に大きな理由がなければ、誠実であり続けた、という意味で完全でしたわ。私は移り気な性質ではありません。それどころか、私を本当に愛してくれる人を一途に愛しますし、容易に恋心が募ることもありません。それに自分が女であることを考えずに男の方々と生きていくことにすっかり慣れていましたので、この愛しい人が私に引き起こした変化に少しばかり当惑し、愕然としてもいます。私はまだ驚きから覚めてはおりません。


ジョルジュ・サンドが友人グジマーワへ送った手紙より