若年性健忘症ではなくて


春分の日でも寒いもんは寒いんだ。


ということで、WBCをベッドでゴロゴロしながら見ていたら、ほんとに眠ってしまって、気がついたら日本が優勝していたというハッピー・デー。


が、春分の日でも寒いものは寒いんだ。


ということで、夕方になってとうとう我慢できずに車で灯油を買いに出かけた。その帰りについでに食材も買おうと、某スーパーの駐車場に車を止めようとしたその時、車体の後部にボムッと衝撃が走った。

後方確認を怠ってバックしてきた乗用車にぶつけられてもうた…。
ああ、去年のイヤな事故が思い出される。


相手は車から降りてこない。


つかつかと近寄って行くと、やっと出てきた。相手はほっそりしたスポーツ系のサバサバした感じのオバサン。


「後方確認しないでバックしてきましたよね」
「はい。すみません」
「どうしますか?警察呼びますか?」
「あの、○○さんですよね」


どっきーん!な、なな、なんで名前を知ってるの!


「はい、そうですけど。どうして知ってるんですか?」
「中学校か、高校が一緒なんです」


げっ、知らない。私、アナタ知らないアルヨ。


「どちらの学校だったんですか」
「○○中です」
「あ、じゃ違いますね」
「じゃ、○○○高校です」
「そうです!」
「テニス部だったんです」


そんなこと言われてもわっかんないよ。大体、テニス部に友だちなんていなかったもの。どうやら、同じクラスになったことはないみたい。いや、卒業アルバムでも調べてみないとわからないけど。部活の友人以外は、クラスメートだって殆ど覚えてない私なのだから。


しっかし、高校卒業してからウン十年も経つってーのにすぐに面がわれてしまうなんて。しかも、高校の時は一度もしたことない前髪アップ、長い髪は一本にしばって三つ編みだったのに。


「ごめんなさい、全然思い出せなくて」
「いえ、いいんです。私ばかり覚えててすみません」


いたたまれない。


私、高校の時、何かやらかしたっけ?つまんないくらい品行方正な女子高生だったのに。思いつくのは、数人のクラスメートと授業の合間にコーヒーを飲むため、授業終了の10分前になると友人が持参してきたコーヒー・メーカーのスイッチを入れて教室中をコーヒー・アロマの香りで癒していたことくらい。


彼女は仕事の関係で4月に海外に行ってしまうとのこと。詳しいことはコチラからは聞かなかったのだが、今住んでいるアパートもこの近くだとか。暗くてハッキリとは見えなかったけど、車は擦れて白くなっただけのようだし。海外へ行ってしまう前に一度会って、ゆっくりお茶でも、と考えている。


なんか今ごろになって、高校のジャージ姿で男の人みたいに歩いてる彼女の姿が浮かんできた。んが、別人かもしれない。