わたしのいもおととおねいちゃん


 本当は昨日帰るはずだったんだ。嘘じゃない。だけどPちゃんが、バレエから帰ったらプールに行きたいって、5時に帰ってくるからそれから行こうって。


 うん!って言うしかないじゃろがーーー。


 妹の野暮ったい水着を借りて、Yも誘って3人で行ってきましたよ。で、思ったのは、ゴーグルってすごいね、ということ。水の中があんなにハッキリ見えちゃうなんてヤバくない?とか変態ハンター(もしくは変質者ホイホイ)であるところのワタクシは思うのでありました。
 Yにバタフライを教えてもらってご満悦のPちゃん、2時間ほど泳いだ後お風呂に入ってセンターを出たのが9時。それからファミレスで遅い夕食。Pちゃんが10時からの「ホタルのひかり」を見たいと言い出し慌てて帰る。10時ぴったりに到着。


「いいよ、先に降りて。フル、BB(姉)の所に車止めるから」
「わかった!」


 喜び勇んで玄関の戸を開けたと思ったら慌てて戻って来た。


「フル、大変!ガリガリくんアイス買うの忘れてる!ママに殺される!」
「うわあ、スッカリ忘れていた!じゃ、今から行ってくるから!」
「うん、じゃあね、よろしくね」


 先に止めてあった姉の車を動かしてもらうためYも既に降りていたのだが、そんなことかまっちゃいられない。姉よりも妹のほうがもっとコワイ。昔から腕力でねじ伏せられてきたのだ。とりあえず、近くのコンビニに行く。ガリガリくんアイス、指定のあったチョコのほうがソーダより40円近く高いのな…。仕方なく、姉の家族の分も買って帰る。
 家に着くと、妹が姉の車のカギを借りてたようですぐ出てきて動かしてくれた。アイスを渡すと、「そんなことで怒るわけないじゃない」と言いながらニヤニヤしてる。それがこわいっちゅーの。
 姉の家のインターホンを鬼のように鳴らしてやっとカギを開けてもらう。開けてくれたのは既に寝ていたK太だった。それからようやく小豆アイスを食べながらテレビを見ていた姉が顔を出した。リビングはK太の部屋と玄関を挟んで真向かいにあるというのに…。アイスをベロベロ食べながら無言でコンビニ袋の中のアイスを確認し、ん、と満足そうに肯いて受け取る姉の顔は、真っ黒で皺だらけで、太った松野明美みたいだった。
 教育者である姉が、家ではオズマ(汚妻)と呼ばれていることを、姉の同僚たちは知る由もない。