梅雨時に「明日はきっと雨になるわ!」というような予知能力

fleurette2011-06-13



 ここにも何度か書いてきたが、私の母方の祖母は生前、といっても私たち孫が生まれる前のことだが、霊媒師みたいなことをしていた時期がある。

 幼少期は裕福な家でお嬢さまとして暮らしていた祖母だが、小学校にあがる頃になると父親(曾祖父)の放蕩三昧がたたって破産してしまい、年の離れた姉は女学校を出たというのに祖母は小学校へも満足に行けないまま武家屋敷に奉公に出されたという。なので祖母は字が読めなかった。

 が、苦労人で働き者の祖母は「おばあさんは字は読めないけど、他のことなら何だってできるよ」と、太った体に似合わない細くて長いきれいな指を翳して、誇らしげに屈託なく笑って言った。私が頭のあがらない唯一の人だった。

 その祖母が不思議な力を身につけたのは母がまだ子供だった頃のこと。近所に当時不治の病とされていた結核にかかった人がいて、妻が「病気が治りますように」と毎日祈っていたら治ったというのだ(S学会とかではない)。「お宅のご主人の耳が悪いのも治るかもしれないわよ」と言われ、耳の遠い祖父のために毎日祈り続けたのがキッカケだった。祖父の耳は結局治らなかったが、祈り続けて10年が過ぎたある日、突然何かが降りてきて難しいことをしゃべりだしたという。その時のことを母は今でも驚きをもって興奮して話す。それから祈り出すと度々そういうことが起こるようになり、その道の先生の元で修行しコントロールできるようになったそうだ。

 とにかく、こうした経緯で祖母は、先日やっていた『トリック』のような、「全てお見通しだ!」的な不思議な力を身につけることになった。その的確さと言ったら、そんなに信じていなかった私でもびっくりしてしまうほどで、つい祖母に「コワ〜イ」と言ってしまった。傷ついた祖母は「もう言わない、コワイって言われるからもう言わない」と、肩を落として力無く言った。それまでは「おばあさんの言うことは百発百中だよ」と胸を張って笑っていたのに…。

 そしてそのことよりもずっと以前のこと、祖父が癌で亡くなった一年後だったか、家族で温泉に行った帰りの車の中で、祖母が祖父のことをぽつりぽつりと語り出したのを隣で聞いていた時のことをセットで思い出す。祖父も父親、姉、母親と相次いで家族を病で亡くし孤独な少年時代を送っていたこと、そして耳が聞こえなくなった原因やもう治らないだろうということも祖母はわかっていた、ということを知った。

 聞こえるようにはならないかもしれない、と知りつつ、それでも夫のために祈り続けた祖母の愛情は深い。その結果としてたまたま身につけたチカラは、家族を守るために使われてきた。あらゆるシーンでアドバイスとして。

 それを私は「すごいね、おばあちゃん!」と言うところを「コワイ」と言ってしまい、アドバイスを永久に失ってしまった。

 だが、皮肉なもんで、どうやら祖母のその不思議なチカラを私はうっすらと受け継いでいるようなのだ。

 土地勘のない暗い田舎道で同乗していた車が事故を起こす数分前、頭の中で救急車のサイレンが不吉にずっと鳴り響き、スピードを落とすように促したのに聞いてもらえず、結局対向車のトラックと衝突。車はオシャカ。が、人間は皆無傷。トラック運転手が不思議だ不思議だと連発するから何かと思ったら、「普通はこっちにハンドル切って崖下に落ちちゃうはずなのに…」とか、見えないはずのものが見える(人の霊とかではない。私はこわがりなので、そういう類のものだけは見ないですむようにと亡き祖父母に祈っている)という、自分の身に起こる危険限定の虫の知らせみたいなものがよくあるのだ。だけど、これがしょーもないと思うのは、どうやってもそれを回避出来ないことだ。そもそも回避できたらそれは単なる思い過ごしで終わってしまうわけだから、そんなチカラに気づきもしないわけだ。…どうです? ますます小林○しのりの『異能戦士』の世界でございましょう?(ご存知ない方は各自検索して下さいね)

 祈り続ければ、いつか私でも祖母のようにいろいろなことを天から教われるようになれるだろうか?

 で、ちょっと真剣に祈ってみた。するといつもは何も起こらないのに、頭の中、というより閉じた瞼の裏側に長方形の光が見えてきた。ドアだ、と思った。向こうのまばゆい明かりがドアの隙間から漏れている。ああ、神様、どうかこの扉を開けてください、と私は更に強く祈った。するとその扉の真ん中に十字架が映しだされたではないか。が、扉の向こうの光は弱まってゆく。徐々に十字架を象っていた光も薄くなり少しずつ変形していった。クルスの中央から下の方だけに斜めに走る二本の線が滲み出てきた。漢字の「木」みたいだ。ちょっと待てよ。長方形の中に木って、これって「困」じゃ…。

 
−どうか宝くじが当たりますようにっ!

−そんなこと祈られても困るがな。


 どうやら、私のドリームジャンボは今回もハズレが確定したようです。

 こんな感じなので何の役にも立ちそうにありませんが、大好きなアナタが大好きなヒトと幸福な人生を送れますように、と毎日祈ることにします。


 見ためは魔女ですが。(17日付けで悪魔画伯からめでたく魔女認定して頂きました!)


今日の画像 : 四つ葉のクローバー