花より枇杷の実

枇杷の実



05:20 出発

 海を見下ろす国道から一段低い海岸通を見渡せる細い道に滑りこむこの短い時間が最高に気持ちいい。土手の上から漂ってくる無花果の甘い香と、潮の香が絶妙な感じで溶け合っている。

 下の海岸通に目をやると赤いジャージのロードレーサーが同方向に向かって走っていた。こちらも負けじとスピードを上げる。左折して海に出ると、あちらは右折して海を背にしたところだった。挨拶はなし。

 海岸通に出る手前でブレーキの不穏な音に、赤ジャージがチラと振り返ったのが見えた。帰りに近くのコンビニでTVブロスと牛乳を買おうと今日はリュックを背負ってきたから、ツーリングにでも行くと思われたかもしれない。

 ぎゅいんぎゅいんとストレートコースを快適に走っていたのに、さっきの赤ジャージが折り返してきたようであっさりと抜かれてしまった。しかたない、だってロードレーサーだもの。どんなに頑張ったところで距離は離れていくばかりだ。

 中間地点の国道でタイムをチェックすると、30分代でいけなくもなさそうな感じ。どっちなんだ。でも、今日はコンビニに寄るから無理。

 赤いゼラニウム、黄色いマリーゴールド、サーモンピンクががったオレンジのノウゼンカズラ、白いライラックみたいに見えるけどあれはきっと新種のアジサイペチュニア、ゼニアオイ、カンナ、クチナシ、早咲きグラジオラス、テッポウユリ、そして幼稚園の敷地の中の枇杷の木!食べ頃の美味しそうな実がたくさんなっている。園児たちで食べるのかな、それとも衛生管理の何とかで…。なんにしたって食べなきゃもったいない!母方の祖父母の家にあった枇杷の木、よじ登ってよく食べたなあ。

 コンビニの駐車場に入ったところで、今度は向かいの道路からマイヨブランがニコニコしながらやってきた。早朝チャリの仲間と思われたかな。施錠して下を向いた時、大粒の汗が一滴左頬を伝って落ちた。ミニタオルで汗をふきながら店に入り、カゴにブロスと牛乳を入れてるうち朝食を作るのがかったるくなってしまい、ハムとキュウリのサンドイッチ、クリームパン、もっちりアンドーナツ、ココアシリアルも買う。支払いを済ませ赤兎のところでリュックに袋ごと入れていると、レジのかわいいオネーサンが「すみませーん」と駆け寄ってきた。TVブロスを入れ忘れてしまったとのこと。中を確認して「あ、ほんとだ、はーい」と笑いながら受け取る。

 距離をのばすため元のコースに戻ってなんとか10キロを超える。アパート前でタイムを見て、ま、こんなもんかと。が、日中の車の多い道路では絶対出せない速度が。もっとも、そんな道路では恐くてまだまだ走る気にもなれないが。


走行時間:0:37'16
走行距離:10.39km
平均速度:16.7km/h
最高速度:38.5km/h
消費カロリー:115.8kcal
積算距離:233.3km