一隅を照らそう-1

琵琶湖



 日曜の比叡山行は極めて困難な始まりを迎えた。


 土曜早朝が雨だったため、履きなれた革靴ではなく買ったばかりの合皮の低めのパンプス(履き心地抜群の謳い文句に騙された)にしたため、スニーカーは用意してなかった。それが足を入れた瞬間、デカイ!(22.5のはずなのに24くらいの感覚)と。指が1本軽く入るくらいスカスカで歩く度に踵が脱げた。しょうがなくて一日目はつま先にティッシュを詰めてやりすごしたが、爪が死んでしまうんじゃないかと思うくらい痛かった。インソールを買うにも時間も場所も見つからず、そこで私は考えた。ティッシュは爪先でガチガチに固くなってしまうけど、ストッキングならよいクッションになるのでは?と。出発前にフロントで鋏を借りてストッキングを10センチ位の長さに切り、それを片方に2枚ずつ入れて調整した。これでなんとか歩けると確信したが、出発が30分も遅れてしまった。


 ホテルに荷物を預け地下鉄を乗り継ぎ三条駅比叡山1dayチケットを購入時、10時半までに西塔に着けるだろうかという問いかけに係員の回答は微妙なものでしかなく、確かにネットで調べた時の乗車時間は短いのだけど、乗り継ぎにこんなに時間がかかるとは予想外で(といっても、気が急いていたからそう感じるだけなのかもしれない)気が気でなかった。10:30に予約を入れた座禅体験に間に合うだろうか、と。


 にしても、暑い。この時期に30度だなんて。

 出町柳比叡山電車に乗り換えて少し落ち着き、車内をふと見上げるとつり革を提げているバーの上には色とりどりの作り物の野鳥がちょこんと停まっているのに気づいた。天台宗は肉を食べないので殺生をしないことから様々な野鳥がいるんだとか。


 ケーブルカー乗車口の手前にあった瓦投げの的。暑いけどお天気はよく眺めは最高。


 ロープウェイから見た洛北の町。

 
 10時を数分過ぎた頃山頂着。そしてシャトルバスの乗り場へ徒歩で移動中、どこかの営業車が停まっていたのでバス停までの時間を尋ね、それから私は徐にケータイを取り出した。10:30着は無理だった。遅れることを謝罪し、13:00に変更して頂けた。たまたまその日の座禅体験が私一人だけみたいだったから融通をきかせてもらえたみたいでした。(写経は団体が入っていたようなんだけど)

 ということで午前中は余裕ができてしまい、それなら!と予定になかった横川まで行くことに。これで比叡山制覇だ。何をして制覇というのか全くわかりませんが。

 シャトルバスに乗り込んですぐ見えてきた琵琶湖の絶景に興奮!異世界のようでした。横川の手前の峰道にあるレストランで食事ができたらその素晴らしい景観が撮れたのかもしれませんが、残念ながらそこまでの時間はなかったので、これは次回の宿題です。



 横川中堂


 入口すぐに小屋があってなんだろうと思いながら通り過ぎようとしたら、中の坊さんに呼び止められる。拝観料を支払わないで突撃するところでありました。そして罰があたったのか、元三大師堂で片言の日本語しか話せない外国人の振りをしてしまおうかと思うくらいのこっ恥ずかしいことを尼さんに聞いてしまいました。もう自分の無教養っぷりに今更ながらイヤになる。あんな地図の看板さえなければ…。いやいや、忌むべきはひとえに己の無知さなのです。気を取り直して次の西塔行きのバスを待ってると、年配のオバサマたちが「ここは1時間も見るとこないわね」と言っておりましたが、紅葉の季節にくればまた感想も変わってくるのではないかと思います。


 そして12:10に西塔着。


 御坊様たちが修行中のにない堂。けっこう傷んでました。


 そして一般の人が修行体験できる居士林道場。



 長くなりそうなので「続く」ということで今日はここまで。