雪、バレエ、雪、地震、車


 一日、家を出るのが遅くなってしまい飛ばした高速。一つ目のトンネルを抜けると紅葉した山々を薄く染めはじめた吹雪に興奮した。こんなに早い初雪ってあったけ?高速を降りる頃には止んでしまったけど、遠くに見える連峰はやはり白く染まったままだった。


 幹線道路沿いにあるスーパーの駐車場から直接会場に向かうことをケータイで連絡。遅刻しなかったことにホッとして、朝から何も通していなかった喉に缶コーヒーを流し込む。今回は、亡くなった祖母を「一番ひいばあさん孝行した」と言ってPちゃんを可愛がっている母方の叔父が一緒に暮らしているMさんを連れて初参戦。場所取りをしてみんなが席についてから、私はいつものようにひとり前の席に座ってかぶりつきでPちゃんを見る。かばいい。うちのPちゃんが一番かばいい。幼稚園の頃からお顔と体の造作が変わっていないところなんかすごくかばいい。


 終演後は姉家族と叔父たちと母(父は腰が痛いと言って留守番)とで姉が予約していたお店でお食事。お酒が入ってMさんを邪険にするので、皆で「こんなに良くしてくれてるのに」「罰があたるよ」「Mさんはもったいないよね〜」と言ったら、叔父が泣いてしまった。嬉しかったらしい。ちょっと複雑なんである。


 9月に母の持病が悪化し一時はどうなることかと思ったけれど、仕事を休んでいた姉が実家に戻ってきて面倒を見てくれたので、今はだいぶ落ち着いて元の普通の生活ができるようになった。用事があるという母と叔父たちは姉の車でそのまま帰ってゆき、私は一人お泊り。ここまできてPちゃんと会わずに帰れるものか。


 打ち上げから帰ってきたPちゃんに一しきりじゃれて、鬱陶しがられて、枕を濡らして寝る(嘘)。前日雪が降ったことを知らなかったPちゃんのために、神の力を借りて朝方に雪を降らす(ほんとに降って吃驚、二日連続!)。午後、おやつの時間を過ぎた頃、Pちゃんたちとお好み焼き屋さんへ行き初めて食べ放題に挑戦してみた。しゃぶしゃぶの時のように元が取れたのかは疑問だけど、美味しかったからよしとする。


 夜、冷たい雨の中高速を飛ばして帰宅。ガラス戸に貼った断熱シートの効果は絶大。朝、暖房をセットしなくても起きられるし、夜帰宅しても部屋が底冷えすることはない。今年は石油ファンヒーターは使わなくてもいいかも、と。その代りにドイツ製のオイルヒーターを引っ張りだした。そもそもこのオイルヒーターじゃ部屋が全然あったまらなかったから石油ファンヒーターを買ったのだけど。


 金曜日の大きな地震時、ネット速報がなかなか流れずラジオをつけると「津波がきます。振り返らずに高台に逃げてください。まわりに逃げるよう声を掛けながら逃げてください」という男性の声。ここ関東でも震度4。支社と本社から安否確認の電話がくる。帰るころにはおさまったけれど、職場の非常用袋を持って帰ろうかなと思っていたところ、先にボスに念のためヘルメットも一緒に持って帰るようにと言われた。どこのガススタンドも長い列。交差点では渋滞でなかなか右折できず、無理に割り込もうとした前の車が直進車の進路を塞ぎ結局バックで戻ってくる始末。不用心かなと思いつつ、長い距離を走るわけではないので直進して海岸通りに出てショートカットすることにした。蒼い闇に包まれた海は静かで、不気味で、津波警報が解除された後もいつでも飛び出せる恰好で寝た。いや、正確には夜更かしした。


 そして土曜日は車の契約に。販売店に届いた車を見て思わず顔がほころぶ。おばあちゃんになってから乗った方が可愛く映える色だ。老女になった自分の乗車姿を思い描く。うん、いい感じ。なんたって今のミニーちゃんは16年も乗ってるからね。今月中に納車できるということだけど、出掛けてしまうので来年にしようかと思案中。それよりも思い出のいっぱいあるミニーちゃんを送り出す時は泣いてしまいそうだ。今も考えただけで目の奥が熱くなってくる。きっと加齢のせい。今日食べたのは八つ頭のけんちん汁だけどね!